第 15 回JMO夏季セミナーは, 2015 年 8 月 23 日(日)〜 29 日(土)の 6 泊 7 日で, ヴィラ千ヶ滝(山梨県清里高原)で開催しました. 参加希望者には事前に, 自分が数学に関して研究したもの, 興味をもったことについてのレポートを送ってもらい, それによって選抜を行いました (2015年度春の合宿参加者のうちIMO代表候補者およびEGMO代表は優先的に参加することができました. 選抜方式は年によって変わります). 参加した生徒は男子22名, 女子6名の計28名で, 中学3年生から高校3年生までわたる幅広い層からの参加が見られました. また, チューターとして21名の大学生・大学院生も参加しました. 当セミナーは数学オリンピック財団の主催で運営されています.
講義およびゼミを行いました. 1日目の夜には希望者による自由発表があり, 1名の生徒が自分の数学に関する研究成果について発表してくれました. また, 5日目の夜には, 親睦を深めるためバーベキューを行いました.
ゼミではいくつかのグループに分かれて, それぞれ下記のうち1冊の本を読みすすめました. 最終日にはセミナー参加者全体に, グループごとに学んだことを発表しました.
本の紹介についてはこちらをご覧ください.
関 典史, 滝聞 太基, 岸川 滉央, 久良 尚任, 清水 元喜, 峰岸 龍, 吉田 健祐, 北村 拓真, 小松 大樹, 村井 翔悟, 増田 成希, 中川 雅洋, 山下 真由子, 上苙 隆宏, 大場 亮俊, 金城 翼, 隈部 壮, 野村 建斗, 早川 知志, 山本 悠時
正多面体の分類は少なくともギリシャ時代には知られていたが, 広い意味で正多面体にまつわる数学は, 汲めども尽きせぬ泉となって, 幾千年に渡って数学の大地を潤してきた.
その1つが19世紀にKleinによって発見された 複素代数曲面の特異点との関係である. これはその後さらにLie環や有限群の表現論との関係が見出され, 拡張された形で現在も活発に研究が行われている.
一方、正多面体の世界から一歩外に出ると, Arnoldによって分類された 14個の例外型ユニモジュラー特異点と呼ばれる 極めて興味深い対象が現れる. Arnoldはこの分類表を眺めていて, ある奇妙な双対性に気付いた. この奇妙な双対性は、現在ではK3曲面に対するミラー対称性の文脈で 自然に理解されている.
講義ではこれらの話題について, なるべく平易に解説したい.
関数の極大点や極小点, より一般に臨界点(微分がゼロになる点)を求める問題は高校数学でもおなじみだと思います. 多変数(一般には無限個の変数)を持つ関数の臨界点を求める問題を変分問題といい, 特に関数の定義域の(位相的な)形とその臨界点との関係の研究は, 大域変分問題, あるいはMorse理論とよばれています.
Morse理論は位相幾何学の研究における重要な手法となっていますが, 今回はそうした側面よりも, 具体的な変分問題を通してMorse理論への入門的な話をしたいと思います.
前半では, 平面凸図形上のビリヤード球の軌道を変分問題として考察し, Morse理論の原型ともいえる峠の補題(Mountain pass lemma)を用いて周期軌道の存在を証明します. 後半では, 曲面上の曲線全体のなす(無限次元の)空間上のMorse理論, 特に測地線との関係について説明する予定です.
最短距離の経路を見つける, うまく仕事を労働者に割り当てる, など様々な選択肢から一番良いものを見つけることを「最適化」といい, 特に扱う対象が組合せ的な構造を持つ場合には「組合せ最適化」と呼ばれます. いくつかの組合せ最適化問題を解く際には, あるものの最大値と全く別のものの最小値が一致するという形の定理(最大最小定理)が重要な役割を果たします. 本講義では, 組合せ最適化の中でも, 特にグラフ上の最適化問題に注目し, そこに現れる最大最小定理についてお話しします.
最終更新日:2015年10月17日