第 14 回JMO夏季セミナーは, 2014 年 8 月 24 日(日)〜 30 日(土)の 6 泊 7 日で, ヴィラ千ヶ滝(山梨県清里高原)で開催しました. 参加希望者には事前に, 自分が数学に関して研究したもの, 興味をもったことについてのレポートを送ってもらい, それによって選抜を行いました (2014年度春の合宿参加者のうちIMO代表候補者およびEGMO代表は優先的に参加することができました. 選抜方式は年によって変わります). 参加した生徒は男子23名, 女子3名の計26名で, 中学2年生から高校3年生までわたる幅広い層からの参加が見られました. また, チューターとして14名の大学生・大学院生も参加しました. 当セミナーは数学オリンピック財団の主催で運営されています.
講義およびゼミを行いました. 5日目の夜には, 親睦を深めるためバーベキューを行いました.
ゼミではいくつかのグループに分かれて, それぞれ下記のうち1冊の本を読みすすめました. 最終日にはセミナー参加者全体に, グループごとに学んだことを発表しました.
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片岡 俊基, 関 典史, 安田 真由美, 岸川 滉央, 清水 元喜, 松原 瑠香, 峰岸 龍, 葛西 祐美, 北村 拓真, 小松 大樹, 村井 翔悟, 増田 成希, 中川 雅洋, 山下 真由子
この講義では, 級数や関数の概念を考えてみる. その動機は, 量子力学の 考え方を数学のなかにどう取り組むかという問題に深く関係している. 特に, 関数の概念について考えてみる. 関数は, 点(座標)を与えると数値がきま る写像(対応)のことである. この考え方は, 物理の観測量の考え方, 特に 古典力学の考え方から影響を受けた考え方といえる.
一方, 量子論では, もう少し違う立場で考えているように見える. 本講義 では, 量子論を頭に入れながら, 関数の考え方を変えることを試してみたい. 実際には, まだまだ未完成な数学だと思えるので, 全体を通じて厳密性に は欠ける部分が多い. もし興味があったら, いろいろな数学の本(特に大学 で習う「微分積分学」や「解析概論」等, いわゆる「解析学」の教科書)を 参考にしてみてほしい.
この講義は, 高校までではあまり馴染みがないと思える「非可換な世界」 について, そのさわりを話してみる. この試みは, まだまだ完成している数 学体系ではないと思える. 数学は物理から多くの影響を受けて発展してきた ことが多々ある. その気持ちが少しだけ伝えられればと思っている.
あみだくじは(専門家から見ても)数学的にとても重要な対象といえます. 本講義では, あみだくじの基本的な性質の紹介から始め, 通常の多項式やちょっと変わった(有限体上の)多項式との不思議な繋がりについて幾つかお話ししたいと思います.
アソシエーション・スキームは符号理論, デザイン (配置) 理論などの多くの組 合せ構造から自然に得られる代数的組合せ論の基本的な研究対象である. この講 義ではいくつかの組合せ構造から自然にアソシエーション・スキームが得られる 様子を説明し, 更にその分類を考える.
アソシエーション・スキームの分類には, 現在のところ有効な手段がないが, まずは原始的スキーム (部分構造をもたないアソシエーション・スキーム) を考えるのが自然と思われる. 原始的スキームのうちで最も簡単と思われるのが, 素数位数 (基礎となる集合の要素の個数が素数) の場合であるが, その場合ですら分類は出来ていない. 素数位数アソシエーション・スキームが常に可換になることの証明の概略を述べることを講義の最終目的とする. そのために必要となる, 群, 環, 体などの代数学の基本的な事項についても簡単に説明する.
最終更新日:2015年4月12日